FXは「世界最大の市場」と言われ、華もあり、トレーダーたちの栄枯盛衰のドラマもたくさん見られてとにかく「派手」です。
昨今は、「投資ブーム」とも言われ、個人初心者トレーダーが急増をしています。
日本人の金融意欲の向上に、自動売買やロボアドバイザーなどが一役買っているのをうれしく思う反面、気軽すぎて何の知識習得も理論武装もないまま過剰にのめり込み、知らないうちに嵐に巻き込まれて屍の山になっていくのも見過ごせない気持ちになっている今日この頃です。
投資自体はどこまで行っても、誰が何と言おうと「自己責任」ですが、昨年の大暴騰とその前の年の凪とを経験してきた者として、『せめてこれだけは!』という始める前の10選チェックリストを作ってみましたので、「さあ、はじめるぞ!」というタイミングの初心者の方は、ちょっとだけ立ち止まって、ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。
【はじめる前の心構え】
①身を持って知ろう、とにかく「少額」スタートを
せっかくのやる気満々なところに、冒頭からさんざん脅してみましたが、でもやっぱりその怖さだって、「やってみないことには何もわかりません」。投資は最終的にはひたすら「自分の感情」との戦いです。感情を鍛えるには、経験しかありません。
ワタシは最初が資金難でスタートをしたので、少額でいかに始めるかばかりを研究していましたが、中には「数百万」単位とか、大きく投資資金を持っている人もいるかもしれません。
ただ、そんな人でも「まずは最低資金から」始めてみましょう。
投資に「ワクワク」を求めちゃダメです。
「ワクワク」や「ドキドキ」などは、いずれ「ソワソワ」「ガクブル」に変質してしまいます。
どなた様も、くれぐれも、「小さく、ゆっくり」スタートしましょう!
②特性は「レンジ幅をコツコツ利確」豪快に勝つようなものじゃない
為替相場の一番の特徴は「レンジ相場」であることです。FX自動売買に興味を既に持たれている方ならこれは認識されていると思います。
「行ったり来たり」する値幅を、コツコツと利確(利益確定)して利益を積み増していきます。始めた当初は「え?これだけ待って、たった300円の利益通知??」みたいになんかがっかりして、すぐ仕掛けLot数を適当に増やしたくなります。
自分で資金管理(リスク計算)がしっかりできた上で、仕掛けを変更するなら当然もう初心者の域を脱していると思うのでいいですが、そうでないならテキトーに仕掛けを変えちゃダメです。もの足りなくなってきたら、「資金管理=リスク計算」をしっかり先に勉強しましょう!
③1に資金、2に仕掛け方、3・4がなくて5にニュース
先述していますが、まずは「資金をいくら用意できるか」が最重要です。それに対して次に仕掛け。その資金量で(自分が安全と思える、許容できる範囲で)どれだけの仕掛けを仕込めるか。
証券各社のHPでだいたい「資金目安表」というのが用意されていて、それを元に必要資金をはじめは計算することになりますが、そこで提示されている金額はほとんどの場合、「その額を超える(想定レンジ幅を超える)と、即時にロスカットになる」という金額であるということをしっかり踏まえておきましょう。
必要資金として出ている、最低2.5倍は用意してやっと「カツカツ」くらいの設定です。当然、できるだけ多く準備をしましょう。とにかくやり始めて、毎月積み増しをしていくという考え方ももちろんありですが、「いざという時=相場急変時」にどう対処するかは事前に決めておきましょう。
「3・4がなくて」とは、一度仕掛けたら、それこそしばらくほったらかしにできるくらいの設定の仕方が望ましいという意味で書いてます。
「5にニュース」
チャートを毎日チェックする必要はないですが、自分が仕掛けている通貨ペアに関わる国のニュースくらいはある程度でもチェックできるようにしておきましょう。どういうニュースが、相場にどう影響があるのか、ファンダメンタル的な要素や市場の相関性がだんだんわかるようになってきます。
自動売買戦略は、「長期視点」で基本的には仕掛けるので、経済ファンダメンタルズの知識を鍛えていくのは、必要になります。
【1.仕掛ける前に:下準備】
④各通貨ペアの「超長期チャート」を最初に見る
「素人にチャート分析なんて無理!だからほったらかしで大丈夫な自動売買がオススメ!」
なんて謡い文句を見たことがないでしょうか?
たしかにこれは一理あって、素人には(玄人にだって)「これから上がるか下がるか」なんてわからないことが多いです。だから、想定レンジを決めておいて、気長にコツコツやるという戦略、考え方は理に適っているように思います。
ただ、例えば「上限も下限もほぼ絶対実現しないような値幅全域に売買を仕掛けられる」ような資金量と仕掛けで挑んでいるなら別ですが、そうではない人のが多いと思います。特に始めたては、そこまで多くの資金を入れていないと思います。
なので、まずは、最低限自分が仕掛けようとしている通貨ペアの
「超長期足(月足)チャート」を眺めてみて、
「トレンド=方向性」の移り変わりをみてみましょう。
例に出してみたのが、「米ドルー円」の月足チャート、約20年分です。例えば米ドルを触ってみようと思うなら、まずこれを見ることから始めてみます。
「うーん、、、上がったり、、下がったり、?(笑)」
はい、最初はそれくらいしかわかりません。まずは、「年ごとの大きな流れ、目立つ動き」を捉えて、それが「なぜそうなったか?」を考えたり、調べたりしてみましょう。
最初に目立つのがやはり、2008年頃から2012年あたりに向かう大きな下落トレンドですね。これは言わずもがなリーマンショックの時です。
さらにいくと、2012年~2013年頃の大きな上昇トレンド、この時には世界的な金融緩和と日本ではいわゆる「アベノミクス景気」が始まったタイミングでした。
ざっくり20年分を値幅網羅しようとすると「76円台~135円台」と60円分も値幅対策をしなければなりませんが、上でみてきたような「年単位の大きな流れ(トレンドの転換)」も意識していると、仕掛け幅や仕掛け方もだいぶ変わってくるのではないかと思います。
⑤自分が興味のある通貨を選ぶ
「結局、どの通貨ペアが儲かるの!!??」とだけ考えて通貨ペアを選ぶと、本質的な勉強(その国の経済動向など)まではなかなか身が入らないので、少しでも自分が興味のある国の通貨を基軸にして最初は研究してみると続けやすいかもしれないですね。
次には、「主要通貨」の動向はやはり少しは気にしたいですね。
「ユーロ円」の月足です。こちらのチャートはリーマンショックの時の下がり方がめちゃくちゃエグイですね。。近年では米ドル円と同様に長ーい下げ基調が続いていますので、売りスワップがプラスなのも相まって「ユーロ円売り設定」が人気ですね。
豪ドル円の月足チャートです。こちらもリーマンショックの時くっきり下げ具合がまず目立ちますね。。その後はそこまで目立つ急騰落がないといえばないので、「システムトレードの優等生」みたいな紹介をだいぶされていました。ワタシも豪ドル円からシストレを始めた一人です!
これらの通貨ペアの他にも本当にたくさんの組合せがありますが、調べる基本軸としてまずは
「7大通貨」=米ドル、ユーロ、円、豪ドル、カナダドル、スイスフラン、英ポンドについてと、余裕が出てきたら「ユーロ/米ドル」などの「ドルストレート通貨」についても眺めるだけでもできるようになるといいと思います。
おまけで、こちらは新興国通貨の分類にはなりますが「高金利スワップ投資!」で人気だった「トルコリラ円」の月足チャートになります。
下落一直線具合がなんとも、、な感じですね。
それぞれのチャートにそれぞれの動きがありますが、これらは各国の経済活動の結果がほぼそのまま出ていたりします。「なんでそうなったか?」というのに疑問を持てるようになり、一つずつ調べていくと、いい勉強になりますのでオススメです。
⑥スワップ動向をチェックする
数年前だと、「FXは外貨預金代わりにスワップ(金利)ももらえてとってもお得!?」という謳い文句がよくよく出ていましたが、昨今ではどこもかしこも超低金利時代に突入をしていますので、新興国通貨といえども、かつてのような高金利ではなくなってしまっています。
基本的には「気にせずほったらかし」にしておきたいので、何の憂いもないようにできれば「プラススワップ」の売買方向で仕掛けをしておきたいですが、現在では先述の通りそこまで金利差が出てこなくなってきていますので、大きなトレンド(上昇・下落)に逆らってまで無理にプラススワップを踏まえる必要もないかなと思われます。
【2.仕掛け方検討】
⑦仕掛ける通貨の大きなトレンドをまず見極める
「証拠金どれだけでも用意できるから、全方位作戦OK!」というブルジョワ階級な人は細かいことを気にする必要はないですが、そうでない人はまず「その通貨ペアのトレンド」を見定めます。
チャートを見て検討をしますが、見る順番としては
①月足チャート
⇒②週足チャート
⇒③日足チャート
⇒④(4時間足)
というように、長いスパンのものから順番にブレイクダウンしていきます。
このとき注意をしたいのが、
「先に見たチャートのトレンドの方が優先される(強い)」
ということです。年単位の長期下落トレンドであると先に見たならば、例えば今少し反発をしていても、また下げ始める可能性が高い、、とかそういう読み方をします。もっと細かい見方やチャート分析は、いくらでも書籍もブログもありますので、興味の出てきた方は探してみましょう。
⑧その通貨の『レンジ幅』を見極める
過去10年、20年の最大レンジ幅を全部網羅できるような仕掛けなら、ほぼ何も心配をするようなことはないのですが、なかなかそうはいきませんし、仮にそうできたとしても、資金効率が著しく低くなることが多いのでオススメにはなりません。
2020年の大暴落でまた相場環境が大きめに変わってはいますが、株やその他先物商品等に比べると為替はあまり大きな動きをしていないようにも見受けられます。(為替への影響は、まずは債券価格(国債長期金利)、株価、金、といったものとの相関・逆相関関係を気づきやすいです。そのトレンド自体も何かのイベントをきっかけに変質することもあるので注意です。)
過去実績と、今後世界がどのように変わっていくか(どこの通貨が強くなり、どこの通貨が相対的に弱っていきそうか)といことにも思いを馳せてみて、想定レンジ幅を検討してみるのもいいと思います。
【3.初心者の失敗パターンを予習しよう】
⑨ワタシはこうして『ロスカット貧乏』に・・
ワタシがやり始めたちょうど2~3年前くらいには、「豪ドル円推し」がめちゃくちゃ流行っていました。
- 比較的素敵な(理想的な)レンジ相場を形成
- 買いスワップも高め
- オーストラリアの経済自体も堅調!
そこでワタシは「1000通貨ずつ80銭単位で買い」を単純に繰り返す自動売買を始めてみました。ときどき「800円」ずつの約定通知がきて、「まあ、こんなもんかなぁ」とだいぶほったらかしてました。
そして、そのまま2020年春の大暴落を迎えたわけです。。。
ぼけっとその時を迎えたワタシは最初、右往左往しかできませんでした。追加証拠金も用意が難しく、いろいろ対策を調べ、必死に裁量トレードもからめた撤退戦をへたくそなりにも繰り広げました。そこでいろいろもがいたおかげで知恵や知識がつくようになりはしましたが、いずれの事態も事前に準備をしておけるものでした。
「ほったらかし投資」
この言葉に惑わされて、本当に最初から何もしないのはおススメできません。少額でまず始めたのなら、引き続いて、少しずつでもしっかり勉強や研究を続けていきましょう!
⑩失敗回避に効果的 「バックテスト」とは?
各証券会社サイトでも、いろいろなシミュレーションツールが用意されていますが、オススメなのが、「自分の選んだ(考えた)仕掛けをバックテストしてみる」ということです。
インヴァスト証券(トライオート)が提供する自動売買を自由に設定できるビルダーというツールを私は利用をさせてもらっています。以前は口座開設をしていなくても使えたのですが、今は口座開設者用のツールになっているようですね。
トライオートシリーズも自動売買の魅力的なプログラムがたくさん(もちろん無料)でとりあつかいがあるので、はじめは口座開設だけでもしておくと、いい立ち回りができそうです。
ワタシも現在愛用中の証券口座のひとつです!
あとは、チャートツールは「トレーディングビュー」というサイトをワタシは愛用しています。世界中のあらゆるチャートがこのサイト一つで見られます。広告が邪魔でなければずっと無料です!
こちらでも仕掛け検証できると思いますが、コードをいじる等しないとならなそうなので、ちょっと私には敷居が高くまだチャレンジできてません。。
【4.まとめ!】
・FXは長期視点でコツコツやるのが素人(専業以外の人)向き
基本はやっぱり「しっかり資金用意して、薄く仕掛け」です。惨敗さえしなければ、いずれどんどん資金は大きくなっていきます。複利効果を目指しましょう!
・「簡単すぎ」「短すぎ」「安すぎ」などは落とし穴 そこまで甘くない
はい、リスクはいろんなところに潜んでますし、見えてるつもりでも、ちゃんと認識できていないリスクも潜在していたりします。最初にしっかりリスク管理の勉強と対策をしましょう!
・作業時間はだんだん短くなる。ただ、勉強も気長にコツコツ続けよう!
仕掛けがしっかり回りだせば、平時はそれこそ何もすることはないと思います。でも、何もない時にこそ、「勉強する習慣」を身につけましょう!