【混ぜるな危険】現物取引と証拠金取引(レバレッジ取引)のリスク管理の違い

各取引手法において、「期待リターン=どれだけ儲かりそうか?」はみんな一生懸命に探していても、現実的なリスクとリスクシナリオへの具体的な対処法を用意せずに始めてしまっていることが非常に多いのではないでしょうか。

リスクとリターンは常に「表裏一体」


手法のリスクを可能な限り具体的に想定して「なんとかなるな?」と自分なりの理解をしていなければ、どんな投資だってギャンブル以下になってしまいます。

この記事では、一歩、あいまいな理解を解くために投資手法別、今回は具体的に「レバレッジをかけているかいないか」で、どれだけリスク管理の仕方に違いが出るのか、またそれぞれの対処法案を書いていきたいと思います。

◆現物取引の場合 ~株式、インデックス等倍系ETF など

 暴落時は、金額(下落額)ではなく

「下落率(%)」でとらえる

【対処パターン】

長期目線のポートフォリオ

 ⇒いずれ全戻しすると考えれば放置プラス余力資金で買い増し狙いでOK

短期目線のポートフォリオ

 ⇒そもそも「想定外」なはずなので、ばっさり「損切」

くれぐれも、「長期に切り替え塩漬け」なんて考えない=「単なる機会ロス~再投資のタイミングを逃す」に終わる可能性が高くなる

【余力資金(現金ポジション)の役割】
  ※生活必要資金は「もちろん」含めないという前提

①買い増しナンピン(難平)用の資金=チャンスをつかむための準備資金

②よい分散先を発見したときの追加投資用資金
 ※現在のポートフォリオに対して、相関性が低い上でかつ注目すべき価格上昇要素等がある など

◆証拠金取引 ~FX、CFDなど

暴落時は想定%に応じた

「下落額」で管理しなければならない

⇒まずどれだけの下落に耐えきれるかを予測しておきましょう

証券口座によってルールが異なりますが、基本的には元々の必要証拠金に加え、「(想定)下落額×25倍×売買Lot数」の任意証拠金の合計金額を入金しておく必要があります。

計算例)FX口座で平均ポジション単価がドル円が105円/ドルで10Lotの買いポジション保有の時点から85円/ドルへ急落(2,000pipsの変動)した場合の含み損の増加額を計算してみると、

【必用証拠金例(イメージ)】
105円×(10,000円/Lot×10Lot)÷25(レバレッジ倍数)=420,000円

【含み損計算例:暴落分(イメージ)】
(85円-105円)×25(レバレッジ倍数)×(10Lot×10,000円)=▲5,000,000円

この事例では、暴落に対処(全ポジションを救助)するには、上記の42万+500万+(暴落直前の含み損益)=542万+暴落直前の含み損益

これ以上の資金の入金があらかじめ必要だという計算になります。

資金効率が悪くならないように、またはそもそも投資資金が足りなくてこのくらいのLot数の取引に対して口座にここまで資金を入れていないケースはたくさんあると思います。知っていてやっているならばまだしも、リスク計算ができていないでやっているといざという時に何もできないどころか、さらに損失を増やしてしまいかねません。くれぐれも、先に最大損失計算はやっておきましょう。

上記では2,000pipsの変動で計算をしてみましたが、2015年の『スイスショック』の時にはスイスフラン/円で、この倍の約4,000pipsの変動が「20分間」の間に実際に起きています。

スイスショックとは?2015年1月15日
永世中立国スイスの中央銀行(スイス国立銀行・SNB)がスイスフランの対ユーロの上限としていた1ユーロ=1.20フランを廃止するとIMFにも予告なく発表。(それまで3年以上続けていた為替介入を急遽廃止するという発表)リーマンショックや東日本大震災を上回る為替レートの急変が発生。為替レートが配信停止に陥てしまい、復旧するころには「追証」発生者が続出する事態となっていた。

 証券口座ごとの【ロスカット基準】を事前に確認しておこう

ほとんどの会社が「証拠金維持率=100%未満」になった時点で強制ロスカットが発生します。
⇒上記の事例(105円⇒85円へ急落)の場合、
 口座残高が542万円しかなければ急落時点で強制ロスカット(強制売り決済)となり
 口座には元からの証拠金である42万円のみが残る。

相場があまりに急変した場合、システムエラーとなってうまく強制決裁がされず、追加の証拠金(追い証)が必要となるケースがある。

大きなリスク項目は、事前にしっかり確認をして、自分の手に負えそうか判断をしておきましょう。

【証拠金取引 暴落対策 6か条】!!

①まず、資金ぎりぎりで迂闊に「証拠金取引」には手を出さない

少なくとも、暴騰落の発生時にどうすべきか冷静に行動ができないと思われるうちは、手を出しても資金が霧散するか、最悪追証になるというオチでしょう。リターンを求めるのであれば、先に勉強をしましょう!

②リスク計算(最大損失)をしっかり事前に想定しておく

  • 現物取引の暴落時含み損 =値差×保有Lot
  • 証拠金取引の暴落時含み損=値差×レバレッジ倍数×保有Lot

となることを、少額資金で体験して先に学んでおきましょう。

※売買Lot数を下げる(0.1Lot単位の発注、など)

※最大Lot数を限定する(5Lot以上は追いかけない、など)

③指値、逆指値注文を上手に使う

特に逆指値注文は、

  • 損失幅の限定(想定下限ないし、価格上昇後建値への逆指値)
  • 既存の含み益の確保(買いポジションが上昇後、現在価格と建値の間に逆指値など)

と、使いこなすと普段の損失も減らしやすくなります。指し時をしっかり見極めましょう。

④急変でなくとも、強い下落トレンドで現在証拠金では足りないのが目に見えている場合

ポジションを一部でも手動で手仕舞い(自力でロスカット)で全ロスカットせずに助けれれることも(たまに)あります。

反対ポジションを持って「相殺塩漬け戦略」はジリ貧×次のチャンスロスの可能性大です。資金余力を持たせることに、マサるものなしと心得ましょう。

⑤そもそもで、偏った資産クラスへの投資に偏らせない

FXのみ、特定国のみ、などと投資対象を偏らせずに、資金はしっかり分散をさせて、変動をできる限り緩和させられるようにアセットアロケーション(資産配分)を検討しておきましょう。
   

⑥スイスショックの教訓 「国策でも時には裏切られる」

普段からニュース(ファンダメンタルズ)はチェックした上で、ブームや、過熱感には近づかないようにしましょう。逆噴射(ショック相場の発生)した時には、手に負えないことがほとんどです。

「ローリスク、ハイリターン」というものはまずありません。

リスクを十分に見極めて、自分にとっての適切なリスクリターン配分を実現できるよう、日々経験と学習を積み上げていきましょう!!

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