トレードをする際には、多かれ少なかれ「チャート」をどなたも見ると思いますが、チャートって結局、『唯一の正解がない』ので、どこまでも勉強と経験を続けなければなりません。
ただ、チャートには、もっと言えば現在価格には、「世界のすべての思惑と行動の結果」が反映されており、その『思惑』部分を計るのに多くの人が意識をする理論を勉強しておくのは非常に有益と言えます。
今回はその中でも非常に基礎的とも言える、この「ダウ理論」を取り上げていきますよ!?
◆ダウ理論とは?
19世紀後半に、その名の通り、チャールズ・ヘンリー・ダウという人が考案したのが始まりです。
「ダウ・ジョーンズ社」の創業者の一人でもありますね。
市場の価格変動を示す【チャート】についての『テクニカル分析』の基礎の基礎と言えます。
何世紀も経た今でも、多くの人に非常に意識をされており、「値動きを見る際の常識」と言えますので、これを知るのと知らないのでは、大きな差になります。
はじめての人も、勉強中の人も、ぜひここで、一緒におさらいしていきましょう!
◆チャールズ・ヘンリー・ダウ(Charles Henry Dow,)ってどんな人?
以下は、サクッと『Wikipedia』からの引用です。
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コネチカット州スターリング生まれ。ハイスクールを中退後、新聞記者になる。
主にニューヨーク証券取引所での相場に関する記事を執筆し、その取材の経験から
「株価は全ての事象を織り込む」というダウ理論を提唱。テクニカル分析の先駆者の一人となる。
1882年にはエドワード・ジョーンズやチャールズ・バーグストレッサーと共にダウ・ジョーンズを設立、当初は手書きの経済ニューズレターをウォール街の経済関係者に配布し始める。
このニューズレターがやがて発展し1889年7月に『ウォールストリート・ジャーナル』となる。
1896年にはニューヨーク証券取引所の株価動向を示す指標として同紙にダウ・ジョーンズ工業平均株価を掲載し、これは今日に至るまで証券関係者に幅広く活用されるようになった。
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「ダウ平均」ってそもそも何??って思っていた人もこれですっきりしたかもしれませんが、ダウっていうのはそもそもこの人の名前だったんですね。
日本で言うと「日経平均」にあたるようなお話ですね。
日経平均も「日本経済新聞」で載せていた株価指数のことですからね。
◆ダウ理論6つの基本法則
さて、ここから具体的に基本法則の中身を見ていきましょう。
1.平均はすべての事象を織り込む
市場価格は需給バランスで決まるため、ファンダメンタルズなど、あらゆる情報が結局は織り込まれてしまうというという意味です。
価格が変動をする要素は、テクニカル的にもファンダメンタルズ分析的にも様々な要因が存在します。
経済指標や各国、各企業などのニュースなどで投資家は一喜一憂もし、それを見越した投機筋が虎視眈々と狙い、、と登場人物とその事情は様々であり、なかなかすべての思惑を見通すというのは至難の業なわけですが、ただ、明らかなのは、
「すべての投資家の思惑と行動結果がチャートである」
というのがこの考え方ですね。
この理論を理解しておくと、『こんなに高いのは絶対おかしい!!』とか、『そろそろ反発来るんじゃ??』とかいう、独りよがりの危険な発想をしにくくなり、【チャートが唯一の答え】という冷静なトレードができるようになります。
2.トレンドには3種類ある
トレンドには上昇トレンドと下落トレンドがあり、期間の長さから、
長期(1年から数年)、中期(3週間から3カ月)、短期(3週間未満)
に大別されるという考え方です。
また、トレンドの定義として以下のように言っています。
上昇トレンド:高値安値がその前の高値安値よりも上にあること
下落トレンド:高値安値がその前の高値安値よりも下にあること
例えば、上昇トレンドを見る際には、トレンドラインを自分で引こうとすると
「安値を結んでライン(支持線・サポートライン)を引く」のが一般的で、このラインを下抜けるとトレンド転換を疑いますが、ダウ理論では、「直近の高値安値」を超えたか超えないかを見ます。
3.主要トレンドは3段階からなる
それぞれのトレンドには、
第1段階の先行期(先行投資家が仕込む時期で動きが緩やか)
第2段階の追随期(上昇銘柄に追随買いが入り急激な価格変動)
第3段階の利食い期(一般投資家も参加し始めるが、先行期に買った投資家は売り抜ける)
の3段階があるという考え方です。
「エリオット波動」もこれと似た考え方ですね。
エリオット波動では、上の3段階の上昇に合間の調整下落を加えた「5波」で説明をしています。
一般的な投資家であれば、トレンドの発生がしっかりわかる追随期で一斉に乗っかってきますので大きな値動きが生まれやすくなります。
順張り派の方はこれを逃す手はないですね!
4.平均は相互に確認されなければならない
これは、ぱっと意味が分かりずらいかもしれない言葉ですが、趣旨としてはひとつの指標(チャート)だけではなく、複数の指標が同じ方向性を示すことでトレンドに確信が持てるということを言っています。
ワタシの他の記事でも言及していますが、例えば「豪ドル」のチャート形成に影響を与えそうなチャートと言うと、パッと主要なところでも以下のようなものがあります。
・米国株
・米国長期金利
・原油
・中国株
投資家がその商品の売買をするのに参照をしていそうなチャートが、欲を言えば「全部同じ方向」を向いていれば、これほど心強いことはない、ということですね。
チャートを読むのに、「関連チャート=相関性の高いチャート」が何なのかを把握しておいて、それらを同時に読み解くのが重要であることがよくわかります。
5.トレンドは出来高でも確認されなければならない
上昇局面では出来高が増加し、下降局面では出来高が減少することという説明もこれは見かけますが、ワタシは端的に、
『出来高が少ない時のチャートは信頼性に低い』
という見方をしています。
出来高(売買の成立数量)が少ない時は、それだけ値動き幅が大きくなります。
年末年始などに価格が乱高下しやすいのも、このような理由がほとんどですね。
なので、大きな価格変動が起きた時にそれがしっかりした「出来高」を伴っているかは、一つの確認材料として見られますね。
6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
市場トレンドは明確な転換シグナルが現れるまで継続するという意味です。
ここで一つの注意点としては、ダウ理論では際に見た通り、例えば上昇トレンドでは「直近安値」を下回るまではトレンド継続であり、これは【水平線】で見ることになります。
特に、短い時間足でばかり値動きを見ているとこの
「今は上昇トレンドなのか?転換点なのか??」
というのがわかりにくかったりします。
短期的なダマシに遭わない為にも、チャートを見る際はしっかり月足や週足などの上位足で、大局のトレンドをしっかり捉えた上で考察を進めたいものです。
◆まとめ ダウ理論の投資活用
さて、ここまでが6大法則でしたがいかがでしたでしょうか。
チャートはどこまでも奥が深く、こうした理論も無数にあるので、やっぱり果てしない、自分には無理だ、、と思ってしまうかもしれませんが、一つずつ、意識してチャートを眺めているうちになんとなくでもコツがつかめてくるものです。
トレードで思うような成果が上がらず、迷子になりかけたらぜひ、このダウ理論にも立ち返ってみて、自分のトレード手法の点検やブラッシュアップに役立ててくださいね。