この記事にたどり着いた皆さんは、これから「さあ、投資するぞ!」というワクワクドキドキなタイミングでしょうか?
でも、ちょっとだけ立ち止まって、先にこの記事を読んで復習していっても遅くないです。
投資家は、どこまでいっても「勉強家」です。そんな投資家たちの『常識』をここでいっしょに確認をしてみましょう!
「投資」と「投機(トレード)」の違い
まず、「投資」と「投機」の明確な違いをパッと説明できるでしょうか。
この違いが分かっていないと、世の中に数えきれないほどある投資商品の評価が自分でできていないことになってしまいます。
日本語教育で「お金の勉強」「資産運用」を授業としてやっていなかったりするので、言葉として非常にあいまいなこともあり、違いを意識しないで使っている人が本当にたくさんいます。
その企業(商品)の『成長』に注目 ⇒比較的長期視点
『資本』に投じるもの ~企業、経営者、不動産資本 など
その企業(商品)の『値動き』に注目 ⇒比較的短期視点
『機会(チャンス)』に投じるもの ~相対的にギャンブル性は高い
自分が今、「投資」をしているのか、はたまた「投機」なのか。
わけもわからずやっている人を見かけますが、『投資目的』と『投資手法』が明確になっていなければ、適切な組み合わせをすることも難しく、また結果として、正当な期待値に着地をすることも相当に困難を極めてしまいます。
まずは、しっかり「自分が何に資金を投じているのか?」を意識して知るようにしましょう!
『期待値(確率論)』を徹底して使いこなすべし
期待値と確率論というお話も、前提条件としてよくよく出てきます。
ここで、基礎的なところをしっかりおさらいしていきましょう!
「サムゲーム」~その種類と特徴~
自分が採用しようとしている投資手法が「どのサムゲーム方式なのか?」を前提として認識しておくのは、期待値を図るうえで非常に有用です。
①マイナスサム 競馬、パチンコ、宝くじ 還元率100%未満のもの
②ゼロサム FX(手数料除く)、仲間内の賭け事(勝者総取り)
③プラスサム 懸賞、買い物ポイント=スポンサーの存在
株式投資=世界経済成長(配当金、株価上昇、新規投資参入)
競馬やパチンコなどは、胴元や店舗、運営組織の取り分がしっかり取られているので、全員の掛け金の合計に対して、分配(リターン)の総和(サム)が必ずマイナスになります。
FXは厳密にいえば、証券会社等に手数料を必ず取られているのでマイナスサムとなりますが、大枠で言えば「通貨の等価両替」なので、ゼロサムであるという論調が多いです。
また、株式投資については、これまでの長い世界経済成長の流れの中では流通資金が増え続けることからプラスサムとなっています。
自分が採用しようとしている投資手法の「前提期待値」が始める前から既に存在していることをしっかり認識して始めましょう。
サイコロの出目が、試行回数がおおくなるごとに期待値(6分の1)に収束をしていくように、いずれの投資手法も、いずれはそれぞれの期待値に収束をしていくと考えられます。
プロスペクト理論とは?? ~人は利益より、損をとことん嫌う~
人は必ずしも合理的な行動をできない。人は損をするのが大嫌い、とことん避ける。
また、人は損をしたとき、なんとしてもその損を取り戻そうとする。
日本人は、この傾向が特に強いともいわれています。
どうしても損をしたくない!という感情に惑わされて、「期待値を無視した行動」をしてしまうということです。
では、有名な「コインゲームのお話」で、あなたの「合理性」をテストしてみましょう!
『コインの問題』
■表が出たら100万円GET or 裏だと50万円を失う というコインの裏表賭け
■勝負をしない!という場合は確実に20万円が手に入る
さあ、この勝負をもちかけられたあなたは勝負に乗りますか?乗りませんか??
投資的には、可能な限り正確に期待値を計算して、その通りに行動すべきとなります。
◆勝負する時 (100 × 0.5)+(-50 × 0.5) = 期待値は25
◆勝負しない時 (20 × 1.0)+(0 × 0) = 期待値は20
コイン勝負だと、確率部分が明確(2分の1)なので計算しやすいですね。
期待値的には「勝負すべき」となります。
ただ、この時「50万負けるかもしれない。。」という感情に負けて勝負を見送ろうと判断した人はとても多いのではないでしょうか??
実はこの問題には続きがあります。
『敗者復活戦のルーレット問題』
仮にあなたが、コイン問題で期待値通りに勝負を仕掛け、残念ながら負けてしまったとしましょう。
その時、以下のような「敗者復活ルーレット」が提案されたら、あなたはどうするでしょうか?
あなたは現時点で「50万円の負債」をかかえてしまっています。
■ルーレット 30%の確率で100万円GET or 70%の確率で更に30万円を失う
■勝負に乗らなければ、確実に10万円が返金してもらえる
さて、この時あなたは「投資家」としては、どう行動するべきでしょうか?
最初のコイン問題の時には、「より確実な利益」を求めて「勝負しない」という判断になりやすいというお話をしましたが、状況が変わると今度は、「損失をなんとかして埋め合わせたい!」という心理状態に陥りやすくなります。。
◆ルーレット勝負をした場合(100 × 0.3)+(-30 × 0.7) = 期待値は9
◆しない場合 (10 × 1.0)+(0 × 0) = 期待値は10
人の損得に対する感情の振れというのは、想像以上に厄介です。
自分の感情に振り回され続けていては、期待値以下の行動しかできずに、遅かれ早かれ市場から退場させられてしまうという結末を迎える可能性が非常に高いです。
まずは、「人はこう思いがち、自分は今どういう状態か?」という自分対話と、
常に冷静な期待値判断を続けてこその、投資家マインドであると知っておきましょう。
「リスク」と「リターン」の捉え方
「リスク」と「リターン」は必ずセットで存在する
と覚えておきましょう。
ここまででも何度も触れてきた、「期待値」の計算には必ず「幅」と「確率」という数値が関係しています。
人は無意識にも普段から「期待値計算」はしています。
天気予報を見て、傘を持っていくかいかないかの判断も期待値計算です。
最悪のケースでも、「雨が降ってるのに、傘を持っていない」という計算ができています。
それを許容できる人は傘を持って行かないという判断もできるし、嫌だという人はせめて折りたたみ傘だけでもカバンに入れていくでしょう。
また、そういう人でも「念のために3本持っていこう!」とは思わないでしょう。
最悪の事態と最高の状態、またそれぞれに至る確率をもって、
期待値計算をします。
投資における『リスク』という言葉は、【変動率(不確実性)】
という意味で用いられます。「危険」という訳を思い浮かべていると読み違えます。
変動率(リスク)が大きいほど、リターンは大きくできます。逆もまた然りです。
リスクだけに捉われて、何も行動ができない。
リターンだけに目がくらんで、自分のリスク許容度以上の資金投入をしてしまう。
リスクとリターンの両方をしっかり見ていなければ、安定感は得られるはずもありません。
『複利効果』の威力と落とし穴
アインシュタインも絶賛したという効果絶大な現象 ・・ではありますが??
はてさて、複利効果とは手放しに信頼できる無敵の効果なのでしょうか。
想定5%利回りの場合 (のよくある複利皮算用)
元本(100) ⇒ 元利(105) ⇒ 元利(110.25) ⇒ 元利(115.75) ・・・
積立投資、ドルコスト平均法の説明でよく出てくる話題です。
長期投資の場合は、金融工学的にも必ず複利計算を踏まえて試算をしますし、とても有用な効果ではあるのですが、投資信託等の投資商品の場合は、元本部分にもリスク(変動率)がかかるため、
長期的な成長が期待できないものに積み立ててもダメ
なことに注意が必要です。
自分が納得でき、信頼のおける「長期的に右肩上がりと考えられる銘柄」をしっかり選んで投資しましょう。
自分の【リスク許容度】を知るべし ~最後は自分の強欲との闘い~
以下のような手順で、自分の【リスク許容度】はどの程度かを見極めてみましょう!
①投資検討先の「期待リターン」と「最大下落時損失」を想定
②「最大下落時」まで資産が目減りしたときに、その状態に
【経済的】かつ【精神的】に耐えられるかどうかを見極めよう
【経済的】 必要生活資金が残ってるか ※最低、6~12か月分?
【精神的】 暴落時に「想定(決めていた投資方針)と違うことをする」
という可能性があるなら、リスクの取りすぎである可能性大
※長期投資なのに慌てて損切、短期トレードなのに塩漬けガチホ 等
許容度については、変動するパラメータがいくつかあり、
【現在年齢】=若いほど許容度は高くなる
【投資経験値】=長いほど、許容度は高くなる
【安全資産金額】=現金資産(円資産)多いほど、許容度は高くなる
【家族構成】=扶養家族等が多いほど、許容度は低くなる
などで上下するので、自分であらかじめ、きちんと検討してみましょう。
厳選して書いてきたつもりですが、だいぶ記事が長くなってしまいましたね。
ただ、これでも始める前の「最低限」というくらいの内容です。
投資は小さくコツコツ、体験して身に染みて、自分の感情ともうまく付き合いながら、
長い年月続けていくものです。
一緒にこれからも、すこしずつでも「勉強」がんばっていきましょう!!
以下のお話を知らないで投資をしてたら、それ『ギャンブル』ですよ??