PDCAのP!と勢いよくタイトルに書いてみましたが、わかりずらかったらすみません。
今回は、ワタシが新規開拓営業コンサルをしていた頃に使っていた、営業PDCA。
(当時は名前は付けていませんでしたが)
この記事では、新規開拓営業活動の「業務設計」をする際のフォーマット、テンプレートをご紹介します。
それが単発のテストマーケティング(試し売り)であれ、長年の定番商品であれ、このPDCAは効果があります。
ぜひ、一緒に確認してみてください。
◆営業PDCAフォーマットとは?
【営業PDCA-定義】から見ていきましょう。
P=営業活動の業務設計 ⇒営業活動全体の設計
D=営業活動実践 ⇒定量的な行動とその適切な記録
C=業務設計時の仮説の検証
A=改善を加えて業務の『再』設計
基本的に営業PDCAはあらゆる営業活動に通ずる基本フォーマットであるとワタシは考えています。
ただ、一般論だけ書いていてもわかりにくいと思いますので、本記事では「法人向け営業における新規開拓営業活動」という設定で書いていきます。
「個人商品向け」「カウンター営業版」とかも聞きたい!という要望があればまた書いてみたいとは思います。
「うちは対面商売だから、手っ取り早く営業トーク教えてほしいよ!」という方は、こちらの記事もどうぞ!
さて戻って、本記事ではこの「PDCAの中のP」について、掘り下げて書いていきます。
◆P=業務設計 考え方とやり方と
ワタシは【営業とは確たるスキル】と思っていますので、営業を単純明快に、それこそ「一言で」とかは無理だと思っていますが、逆に分厚い書物を何冊も読んで悩んでみたり、小難しく考える必要もないと思っています。
ワタシがいつも営業の『業務設計』でやる手順は以下の4ステップです。
①売りたい商品・サービスの【特徴】は何か
②どういうヒト・企業などに喜ばれる商材か
③金額数値計画はどうするか=いつまでにいくらの売上が必要か
④どういう手段でアプローチをするのが適切か
こう見ると、「普通のこと」しか書いていませんが、別に成果を出すのに小難しいことをする必要はありませんし、すべきことを丁寧に分解すれば「この内容で、この順番で」設定をするという結論になります。
ただ、意外と「営業畑」の人ほど、こういう整理ができていません。ぜひ一度、目の前の自分の商材を、この順番で整理してみましょう。気づかぬところで、「未検討」な項目を見つけられれば、それが「アナタがその商材を売りづらくしている原因」とわかります。
では、『業務設計の4ステップ』をどのように組み立てていくか、順にみていきましょう。
◆①売りたい商品・サービスの【特徴】は何か
さて、最初のステップはこれになります。
よくある「マーケティングの4P」での「プロダクト」だと、「売りたいもの、サービスは何か?」で終わってしまうので、試行するのにちょっと二度手間です。
売りたいものは何かなんて、だいたいわかり切っているので一歩突っ込んで
『こういう特徴、メリットを持つ○○〇という商品』
という定義をしてみましょう。
特徴とは、売り手・作り手が
「ユーザーにもたらす(と考えている)その商品の良い点」
ということになります。
【悪い点、デメリット】については、「まだ開発段階」とかでなければここでは一旦横へ置いておきましょう。ユーザーをだます方法を考えよう、ということでなく、よくあるのが、
「メリットを追求していったら、デメリットがそうでもなくなっていた」
ということがあるからです。
◆②どういうヒト・企業などに喜ばれる商材か
ここでは、「いかに営業対象を広く設定できるか」ということを念頭に一度検討をしてみるというのがポイントです。
元々、商品・サービスの設計・製造段階で、想定するユーザー像というのはあることがもちろん多いですが、作り手や専業マーケターが見落とす点は、「意外と多い」くらいに思っていてちょうどいいです。
業種軸、職種軸、地域軸、世代軸、など、思いつく限りの『軸』を並べてみて、その中のどこに刺さりそうかを検討してみましょう。
例えば、上の中で「業主軸」で考えてみようと思った場合は、Webで「業種一覧」などで検索をしてみて、その中でどの業種に行けそうかな?と探してみるなどが具体的な作業になります。
先の「軸設定」の時点で例えば「業界」などとちょっとふわっとした設定をしてしまっていると後の作業がやりにくいので、なるべく「後々に具体名をずらずらと並べられるもの」を軸として設定しておくのがよさそうです。
◆③金額数値計画はどうするか=いつまでにいくらの売上が必要か
・テストマーケティングの場合
全く新しい商品・サービスを始める際に「試し売り」「市場の感触を計る」をしてみることがあります。この時に気を付けたいのが、
「これだけの営業活動をしたら、これくらい売れるだろう」
という事を、活動を始める前にちゃんと決めておくということです。
なんとなく始めてしまうと、「意外と売れた?」「結構厳しいかも?」など、なんとなくな結果しか得られません。そうすると、改善策まで「なんとなく」になってしまいます。なので、試しにやるという場合でもちゃんと「想定数値」というのは必要なのです。
そうでなければ、本番に向けてどのように商材や活動自体をブラッシュアップしたらいいかわからなくなってしまいます。
・既存商材の営業予算設計の場合
今検討しているのが既存商材であれば、ほとんどの場合「前年数値」「本年度予算」があると思いますので、まずはその数字が「何を根拠にしているのか」から確認してみましょう。
- 伝統的に「5%アップ」などの定率で決められている
- 営業人員の増減や、人口動態など市場予測を細かく踏まえて計算している
- 経営者の勘、一声
企業・組織によって、営業数値計画は十人十色的な決め方があります。
しかし、共通して言えるのは「未来予測なので、大なり小なり皮算用」だということです。
立派なマーケティングロジックがあるから確実に売れるというわけでもなければ、経営者の単なる勘が根も葉もない取るに足らないモノとも限らないという事です。
営業活動の業務設計をする立場(営業責任者、その補佐役の人 など)にとっては、「売らなきゃならない数字」があって、それに対して「どうやって再現性よく売り切るか」ということを考えなければならないのには、変わりありません。
なので、ここで整理をしておくべきことは以下の通りです。
- 前年数値を正確に把握しているか、本年度予算は決められているか
- 体制と売り先市場、現行手法に今期と先期で違いはあるか
という点です。何が変わったら、数字がどう変わったかをできるだけ正確につかんでおきましょう。
「営業は結果がすべて、とにかく売れ!」
とは、一見美しい、かっこよく潔い言葉に聞こえますが、ワタシに言わせれば単なる
【思考停止×努力放棄】
だと言い切れます。プロセスを語っていない営業自慢に何の価値もないからです。
まあ、ヒトに教える義理も義務もない人からすれば、まあ、価値ある話もする必要も元々ないので、言ってしまえばそれまでですが。
【営業チームは『結果』と『プロセス』両方こだわるべし】
これがワタシの考え方です。
◆④どういう手段でアプローチをするのが適切か
「営業する」というと、この手法の部分だけ語ったり、こだわたりするヒトがいますが、ここまで話してきた前3段階を踏まえていなければ、手法だけ議論していても適切な再現性のある答えにはたどり着けないでしょう。
なぜ再現性にこだわるべきかと言えば、そこそが
「チーム育成=同じよう売り上げられるヒトを増やす」
ということにつながるからです。
なので、きちっとヒトに説明ができるレベルでプロセスを整理しておく必要があります。
さて、手法と言う観点ですが、
・既にある程度手法が固まっている=既存のスタイルがある
この場合には、それを前3段階を整理した上で再検討してみます。
「このまま続ければ予算は達成できる」
のであれば、それこそそのままでOKです。営業チームとしてしっかり機能していると思います。
問題は、「このまま続けても無理そう」となった時ですね。
成果を評価する際に必要な物差しは常に【質×量】です。
まず、量が足りない=アプローチ数が足りない という結論に至ったのなら、その対策をしましょう。(人員を増やす、手数を増やす、etc.)
可能な限り【量】を増やしてもまだ足りないとなれば、【質】=やり方の検討が必要になりますね。 次の項で見ていきましょう。
・これから売り出す商材、手法が未確定
企業・組織によっている人材も文化も違うので手法ごとの得意、不得意が結構はっきり特色が出ますが、ここでは一般的な「新規開拓手法」を挙げてワタシなりの寸評をしてみます。
パターンを眺めてみて、自社で採用できそうな手法があればぜひ試してみてください。
①テレアポ
原始的かつ高コストに見えますが、法人開拓には【最も有効】とワタシは考えています。
商材と営業人員によりますが、対法人では「80~100件コール/1日、アポ率5%以上」というのを指標として取り組むといろいろと成果が安定しやすいです。
この記事では多くは語りませんが、「リスト」「トーク」にこだわり方があります。
②飛び込み営業、ローラー営業
さらに原始的になりますが、【地域軸】で顧客設定をしている場合はやってみると一定の成果=売り上げないし、市場環境情報が得られるので、やり方次第というところです。
③リスト営業(過去の契約顧客の掘り起こし)
キャリアのある企業や営業担当だと、このリスト営業が可能です。
過去客だと、まず「一定の信用」がある状態からスタートができるのでもちろん有利です。
テストマーケティングなんかは、ここから始めるのが定石とも言えます。
④追加営業(既存・現在顧客へのアプローチ)
商材として、現在顧客にも十分に案内可能ということであれば、工数をかけてもここへはしっかり一通りアプローチをしましょう。
⑤Webマーケティング
この部分は、企業や業界によってはっきり得手・不得手が出る部分ですが、「できることはないか」一通り検討をしておいて当然損はありません。ここは書き出すとキリがないので、機会あれば別述します。
⑥DM(ハガキ・封書)、折込チラシ
・リスト(営業先候補)がはっきりしている
・エリアに特化したい
こんな場合には有効な施策と言えます。
新聞、雑誌等の「紙面枠広告」は、営業効果を期待するには難しいので、折込(単独チラシ)のパターンで検討をするなら探してみましょう。
⑦FAXDM
大量に送れるリストの入手のしづらさから今ではだいぶすたれた感がありますが、昔は結構効果がありました。売上に困ったときは、FAXDMでしのぐなんてよくやりました。
一応コツとしては、
・白黒A4一枚にしっかりまとめるが、【タイトル】だけは命を懸ける
・『怒られても挫けない』(笑)
というところでしたね。
これくらいのところが定番のアプローチ手法でしょうか。
一個一個が深く掘り下げ可能なものですが、始めると記事がそれこそ膨大になりすぎるので今回はこの辺で。
◆まとめ 営業活動PDCAの【P】とは?
P=業務設計 を手順に沿って、しっかり詰めることで【再現性のある】営業手法を確立しましょう。
チーム再生という観点であれば、例えばその中に一人でも「天才的に成果を出し続けるヒト」なんてヒトが居れば、その人の行動様態を研究して一般化するなんていうのもありますが、まあ、実際にはあんまりそんな都合のいい人はいないパターンが多いです。
地道にチーム全体を、ばっちり底上げして、今期の売り上げ達成を目指しましょう!